2009/08/29

おもわず宙を眺めたくなる






ロバート・チャールズ・ウィルスンの「時間
封鎖」という本が面白かった。


ある日空から星が突然消えてしまう。どうや
ら地球そのものがある種の膜のようなもので
覆われてしまったらしい。
そして膜の外では、一億倍の速度で時が進ん
でいることがわかった。

ご存知の通り、星にも寿命がある。地球に生
命が存在できるのは、太陽との絶妙な距離が
保たれているからだ。今は太陽が安定期にあ
る。しかし、いつか地球と太陽の絶妙な関係
も終わりがくる。太陽は自身の死にむけてパ
ワーを増す。
ということは、いつか地球は生命が住めない
星になってしまう。今日、明日の話ではない
し、1000年後だって100万年後だって大丈夫
だろう。きっと数十億年後の話だ。
でも、地球での1年が膜の外では1億年進む
ということは・・・。
にわかに、人類は絶滅の危機に立たされる。

果たして、膜の正体は?どうして宇宙の時間
の流れから隔離されたのか?


壮大のテーマを扱いつつも、人物描写に力を
入れていてSFファンじゃなくても読みやすい
と思う。
詳しくは書かない方がいいと思うけど、時間
封鎖を逆に利用してやろうという人類の挑戦
には鳥肌がたった。
ひとりの女性を30年以上想い続けてきた主人
公に、自分を重ね合わせてしまって、けっこ
う照れくさい感じもします。


9.11以降に書かれた比較的最近の作品。
30年後にはオールタムベストと呼ばれるべき
小説だと思う。


クラークの壮大さと、J.P.ホーガンの謎解き
の面白さを併せ持ったような作品。
ハードSFファンには、絶対にオススメです。







同じく地球が膜に覆われるという設定のグレ
ッグ・イーガンの「宇宙消失」もオススメ。
こちらはガジェット満載でサイバーパンク好
きなら絶対楽しめるはず。
シュレーディンガーの猫のパラドクスを僕に
教えてくれた作品でもある。
大好き!


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